ジャンル:ロボット、SF、アニメ
今回は、期待外れに終わるかもと一抹の不安を抱きつつ視聴(プレイ?)したところ、個人的にはVR映画界過去最高ともいえる、いまだかつてない、そしてVRの魅力を最大限に発揮するVR映画に仕上がっていた『機動戦士ガンダム: 銀灰の幻影』を発売初日にファースト世代の筆者がレビューします。
項目 | 評価 |
---|---|
総合評価 | ★★★★★ |
インタラクティブ性 | 普通 |
操作性 | 普通 |
リプレイ性 | 普通(映画本編だけで1時間半程度のボリューム) |
日本語ローカライズ | 日本語音声・日本語字幕有り |
独創性 | ユニーク |
画質 | 最高 |
ゲーム展開形式 | VR映画 |
酔いにくさ | 酔いにくい |
モビルスーツのコックピットに搭乗できる日がついに実現
『機動戦士ガンダム』を好きだったことがある人なら誰もが憧れるモビルスーツのコックピット体験。あの両手のレバーのような操縦桿や、『機動戦士Zガンダム』から採用された360度スクリーン(全天周囲モニター)に憧れたことがあるのではないでしょうか。その夢がついに『機動戦士ガンダム: 銀灰の幻影』で実現しました。
しかも、このVR映画は映画と言いつつ、単に視聴するだけではなく随所でインタラクティブな要素があり、上手く視聴場面と操作場面が切り替わり、モビルスーツの操作場面も適度に散りばめられています。モビルスーツに登場し、コックピット内のモニターを操作して全天周囲モニターが表示された瞬間の感動は言葉にできないレベルです。
ガンダムシリーズ、アニメ映画としてのクオリティも十分
VR映画というと主観視点で視聴する時間が多く割と退屈しがちですが、この作品ではインタラクティブ操作が多いことと、アニメとしてのカット割りなどもしっかり作り込まれており全く退屈することなく楽しむことが出来ます。
筆者はアニメファンではないためアニメ作品としての評価は難しいのですが、さすがに劇場公開作品のレベルではないかもしれませんが、OVAとして見れば十分な出来栄えだと思いました。
また、主人公(プレイヤー)は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のアクシズ落としに参加した経歴があるため、それに絡んだ回想場面などもVRで体験できたりと、過去のガンダムシリーズのファンも楽しめるストーリーではないかと思います。
ガンダムアニメの世界に入り込む、魔法のような没入感
VRにおいてはほぼ全てが3Dポリゴンによる表現になるため、アニメ的なビジュアルというものは難しく、自然に再現されたものが極めて少ないことはVRユーザーの方ならご存知だと思います。
しかし、『機動戦士ガンダム: 銀灰の幻影』においては、ほぼ全編がいわゆる3DCGっぽいビジュアルではなく、通常のガンダムアニメそのもののタッチのビジュアル(髪の毛には輪郭線がなく、顔立ちには輪郭線がある等)で構成されています。
普通のアニメタッチながら立体感・距離感という3D要素も実現しているという、まさに魔法のようなグラフィックでガンダムシリーズのアニメの世界に入り込めます。至近距離で登場人物が話す姿を見ているだけでも見とれてしまいますよ。
そんなビジュアルのVR環境の中で、ガンダムシリーズあるあるの艦船の廊下の壁につけられた移動式レバーで移動したり、艦船のブリッジを眺め回したりと、ガンダムの世界をたっぷり堪能できます。
また、ハンドトラッキングにも対応していますので、コントローラを握らず手ぶらで鑑賞・プレイできるというのも、プレイヤー目線の丁寧な開発だと感心します。
回転椅子推奨!驚きの6DoF
さらに驚くべきですが、そんなアニメタッチのVR映画にも関わらず、なんと6DoFが実装されています。360度見回せるのは当然のことながら(本来は難しいはずですが、この作品の視聴中は当たり前のように感じます)、視聴中に頭を動かしたり移動すれば死角になっている所を覗き込んだりすること(他のキャラクターが操作しているPCモードのHALOの画面を覗くとか!)も、アニメの中を歩くことさえ可能です。
もちろん、コックピット内も360度、モビルスーツごとに作り込まれており、全天周囲モニターの表示なども丁寧に作られているので眺め回す値打ちがあります。モビルスーツ戦の場面などでも、あらゆる方向を見れますが、普通の椅子の場合首を振り回すのが大変なので、可能であればキャスター付きかつ回転式の椅子が推奨です!
ボリュームも満点、リプレイ性もあり
VR映画というと短編が多いですが、この作品は恐らく本編だけでも1時間半程度あったと思います(インタラクティブパートの上手さにもより変わります)。また、最初に自身のキャラクターと音声を男性か女性かで選択可能な上に、(恐らくですが)エンディングも変化させられるようです。
チャプター形式で選択して見たい場面、プレイしたい場面だけをリプレイすることもできますので、そういう意味では再視聴もしやすいと思います。
別途レビューしていますが、MRコンテンツとして、ドックに立っている実寸サイズのモビルスーツをいろいろな位置から眺めるコンテンツや、MRゲームもありますので、一度映画を見て終わりということにはならないと思いますし、Meta Questを持っていないガンダムファンのお知り合いに見せてあげるととても喜ばれるはずです。
まとめ
『機動戦士ガンダム: 銀灰の幻影』は、これまでの常識を覆すVR映画作品の上に、ガンダムやアニメの世界に入り込みたい、ガンダムのコックピットに乗ってみたいという夢を実現してくれました。このクオリティで2,800円の価格は、Meta Questを持っていて、一度でもガンダムが好きだった人には絶対に体験して欲しい作品です。
日本の有名アニメが実写化されたりゲーム化されると、がっかりすることが大半ですが、『機動戦士ガンダム: 銀灰の幻影』に関してはよくあるIP商法ではなく、完全に日本のガンダム制作陣がしっかり取り組んでいることがわかる良作です。オープニングのメニュー画面でさえ、部屋の隅々まで歩いてよく探せば「隠れハロ」が潜んでいたりと、制作陣のガンダムシリーズへの思いがしっかり伝わってきます。
筆者は予約販売なので10%引き程度で購入しましたが、下記のリンクからなら15%引きで購入できるはずです。もちろんMeta Questの返品規約に沿っている限り、返品も可能ですので、少しでも興味を持たれた方は是非プレイしてみてください。